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ONELIFE #38 – Japanese

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Land Rover’s Onelife magazine showcases stories from around the world that celebrate inner strength and the drive to go Above and Beyond. New perspectives meet old traditions - these contrasts unite in the latest issue of ONELIFE. Together with Landrover we travelled around the globe. From the high-tech city of Shenzhen in China to the carnival subculture in Brazil to Wuppertal. We got to know one of the oldest space travelers, technology visionaries and watch lovers, just as the new Range Rover Evoque. An exciting journey through the world of yesterday, today and tomorrow.

DESIGN

DESIGN 「ノイトラがデ ザインの 中 心 に 据 えた 信 条 の 一 つは 建 物 の 内 と 外 の 境 を あいまいにすることだった」 ドイツ 西 部 のノルトライン・ヴェストファーレン 州 にあるヴッ パータールは、 面 積 の3 分 の2 が 公 園 と 森 林 という、 同 国 で 最 も 緑 の 多 い 街 だ。 心 地 良 い 場 所 ではあるが 世 界 的 に 珍 しいわ けでもなく、ガラスと 鋼 材 で 銀 色 に 輝 くミッドセンチュリーモダ ン 建 築 の 最 たる 例 を 探 して 最 初 に 訪 れる 場 所 ではおそらくない。 大 抵 はロサンゼルスの 峡 谷 のてっぺんや、カリフォルニアの 砂 漠 で 目 にする 月 面 のような 風 景 の 中 で、 巨 岩 とサボテンの 間 に 隠 れるように 立 っていたりするのだ。 だが、ヴッパータール 中 心 部 からちょっとのドライブで(もっ とも 豪 華 なレンジローバー ヴェラールに 乗 っていると、もっと 時 間 のかかるルートを 走 りたくなるが)、 曲 がりくねった 林 道 に 入 ると、 驚 くべき 光 景 が 待 ち 受 ける。ドイツ 西 部 に 位 置 し、 特 に 目 立 つことのないこの 一 角 で、 幾 重 もの 木 々や 生 垣 の 奥 に 伝 説 的 なモダニズム 建 築 家 、リチャード・ノイトラによるヴィラが あるのだ。ヨーロッパにたった 8 軒 しかないうちの1 軒 である。 現 代 建 築 を 代 表 する 人 物 であるノイトラはオーストリアに 生 まれ、1920 年 代 はじめにロサンゼルスに 移 住 した。ロサンゼ ルスの 広 々とした 空 間 、 余 りある 陽 光 、 自 由 の 精 神 に 惹 かれた のだ。ノイトラは 先 見 性 のある 建 築 家 、フランク・ロイド・ライ トの 下 で 短 期 間 仕 事 をした 後 、1929 年 に 独 立 。この 時 期 に、 今 なお 20 世 紀 で 最 も 重 要 な 家 屋 の 一 つと 考 えられているロサ ンゼルスのロヴェル 邸 ( 健 康 住 宅 )を 設 計 ・ 建 築 した。 初 期 の 高 層 建 築 の 技 術 に 基 づき、 米 国 で 初 めて 住 宅 建 築 に 鋼 材 を 採 用 したロヴェル 邸 は、 建 築 界 で 大 きな 話 題 を 呼 んだ。そしてこ れをきっかけに、ノイトラは 国 際 的 に 知 られるようになった。 その 後 の 40 年 間 、ノイトラは 300 以 上 の 住 宅 やビルを 設 計 ・ 建 築 し、その 多 くは 米 国 西 海 岸 に 存 在 する。 息 子 ディオン との 共 作 も 多 い。ノイトラは 光 と 景 観 をふんだんに 取 り 込 んで 設 計 する 一 方 、 施 主 の 要 望 に 応 えるよう 十 分 に 配 慮 した。 施 主 の 職 業 は 何 か、 社 交 スタイルはどのようなものか、 目 にするも のや 耳 にするものの 好 みは 何 か、といったことだ。 実 際 、ノイトラがデザインの 中 心 に 据 えた 信 条 の 一 つは、 建 物 の 内 と 外 の 境 をあいまいにすることだった。 天 井 から 床 まで あるスライド 式 のガラス 窓 で 内 側 の 空 間 と 隔 てられたテラスは、 外 の 環 境 を 内 側 へ、あるいは 内 側 の 環 境 を 外 へと 延 長 する 試 みだった。ロサンゼルスのノイトラ 社 を 今 なお 経 営 する 92 歳 の ディオン・ノイトラが 笑 顔 で 語 る。「ノイトラのデザインは 何 よ りも『 自 然 との 触 れ 合 い』が 特 徴 だといえます。デザインでそ れ を 取 り 戻 す こ と を 目 指 して い る ん で す」。 「 自 然 との 触 れ 合 い」を 取 り 戻 すことは、ヨーロッパでは 少 し 寒 く 感 じるような 提 案 だったかもしれないが、それにもかかわ らず、1960 年 からリチャード・ノイトラが 亡 くなる1970 年 まで、 父 子 は 共 作 により、スイスに4 軒 、ドイツに3 軒 、フランスに 1 軒 のヴィラを 設 計 ・ 建 築 した。 「 何 がきっかけだったのかは 分 かりませんが、 一 般 家 屋 の 設 計 依 頼 が 来 るようになったんです。ヨーロッパでのヴィラ 建 築 は すべて、どこかで 私 たちのことを 耳 にし、 目 にしたものを 気 に 入 ったオーナーの 主 導 で 実 現 したものです」とディオン。 その 一 例 がケンパー 夫 妻 だった。ヴッパータールでコルセッ ト 製 造 事 業 を 成 功 させた 彼 らは、 米 国 西 海 岸 の 新 しい 生 活 スタ イルに 魅 力 を 感 じていた。1963 年 、 夫 妻 はノイトラに 連 絡 し、 ノイトラはヴッパータールで 適 切 な 場 所 を 探 し 始 めた。4 万 平 方 右 :マンフレッド・ ヘリングと 妻 サラの オーナー 夫 妻 は、 彼 らの 見 事 な 審 美 眼 に かなう 家 具 をケンパー・ ハウスのためにそろえた。 36

ARCTIC ADVENTURE 37