ONELIFE #37 – Japanese

N A V I G A T O R

N A V I G A T O R 「この 町 に 住 む 子 供 たちには3つの 選 択 肢 がある。 ギャングになるか、 酒 に 溺 れるか、ラグビーに 打 ち 込 むかです」。 南 アフリカ 共 和 国 ポート・エリザベスのズ ウィデでこう 語 るのは 地 元 のヒーロー、シヤ・コリシ。 スプリングボックスの 愛 称 で 知 られる 同 国 ラグビー 代 表 チームのキャプテンだ。 スポーツの 本 質 的 な 喜 びに 満 ちたラグビーが、 東 ケープ 州 にあるこの 町 では 救 済 の 手 段 にもなっている。 「ラグビーは 命 を 救 う。ここでは 自 明 のことです」とコ リシ。 彼 は 今 、ディスカバリーを 運 転 して、 子 供 時 代 に 所 属 したクラブ、アフリカン・ボマーズに 向 かってい る。けん 引 しているのはとても 特 別 な 貨 物 だ。 コリシは 現 在 、 代 表 チームでキャプテンを 務 めてい る。 黒 人 選 手 として 初 のことでもある。 貧 困 や 社 会 不 安 のあるズウィデの 厳 しい 環 境 に 打 ち 勝 ち、チャン スも 限 られているなか、アフリカン・ボマーズで 並 外 れた 才 能 を 発 揮 した。 若 いフランカーとして 注 目 を 集 めた 彼 は、 長 年 の 覇 者 である 名 門 グレー 高 校 に 奨 学 生 として 入 学 し、 第 一 選 抜 チームに。その 後 、ケープ ・タウンのチーム、ストーマーズでキャプテンとなり、 今 年 はスプリングボックスでキャプテンを 務 めている。 このすべてを26 歳 までに 成 し 遂 げた。 勇 敢 で 機 知 に 富 み、 粘 り 強 く、スタイルを 確 立 して いる。コリシがランドローバーのブランドアンバサダー にまでなったのもうなずける。これは 強 力 な 相 乗 効 果 を 持 つパートナーシップだ。ランドローバーは、ラグ ビーを 市 民 レベルからエリート 選 手 まで20 年 にわたっ て 支 援 してきており、2011 年 と2015 年 のラグビーワー ルドカップではワールドワイドパートナーでもあった。 2019 年 に 日 本 で 開 催 されるラグビーワールドカップで は、3 回 目 となるメインパートナーとして 戻 ってくる。 ランドローバーとコリシのパートナーシップを 通 して、 あるアイデアが 生 まれた。コリシが 特 別 仕 様 の 輸 送 コ ンテナにラグビーのクラブハウス 一 式 を 詰 め 込 み、そ れをランドローバーでけん 引 してズウィデに 戻 り、この 設 備 をアフリカン・ボマーズに 贈 呈 するという 計 画 だ。 これは 草 の 根 ラグビーと、 地 元 のクラブとのコミュニ ティを 維 持 しようと 努 力 しているボランティアたちに 対 する、コリシとランドローバーの 感 謝 の 表 れなのだ。 数 ヵ 月 間 にわたって、ランドローバーは 入 念 に 輸 送 コンテナを 再 加 工 し、ズウィデの 競 技 場 にない 器 具 や 設 備 をすべて 詰 め 込 んだ。 太 陽 光 発 電 、オフィス スペース、 作 戦 ボード、ベンチ、タックルバッグ、ボー ル、ビブス、シャツ、キックティー、 給 水 ボトル、 更 衣 室 など。このクラブハウスとコーチたちが、 地 域 コ ミュニティの 社 会 的 安 定 剤 の 役 割 を 果 たすことになる。 そこは、 若 い 選 手 たちがラックやモールのコツと 同 じ くらい 道 徳 的 指 導 やキャリアに 関 する 助 言 を 求 める 場 所 だ。より 多 くの 若 者 をクラブでのトレーニングセッ ションに 引 き 付 け、 希 望 ある 人 生 のスタートを 切 れる ようにすることが、この 贈 り 物 の 目 的 である。 ジグソーパズルの 最 後 のピースは、コリシが 目 的 地 にコンテナを 届 けること。ディスカバリーの 優 れたけ ん 引 能 力 とアドバンスドトウアシストを 用 いて、ポー ト・エリザベス 南 部 から 海 岸 沿 いに 走 る。ズウィデの 競 技 場 で 平 日 のトレーニングが 行 われている 最 中 に、 予 告 なしに 到 着 すると、コリシと 謎 めいたトレーラー はすぐに 興 奮 を 巻 き 起 こした。コリシはアフリカン・ ボマーズが 経 営 するさまざまな 男 女 ジュニアチームの 選 手 たちに 取 り 囲 まれ、 自 然 と 始 まった 歓 迎 の 歌 の 輪 に 加 わる。 夕 暮 れの 中 、 拍 手 、 歌 、 口 笛 、 喝 采 が 続 いた。 この 興 奮 が 人 を 呼 び 寄 せ、コンテナの 扉 がいよいよ 開 かれるというときには、 町 の 住 民 全 員 が 集 まったか と 思 うほどだった。けん 引 可 能 なラグビー 施 設 の 全 貌 が 明 らかになると、 辺 りはすぐさまお 祭 り 騒 ぎとなっ た。 子 どもたちはすぐにタックルバッグを 使 い 始 め、 誇 らしげにシャツを 身 に 着 け、ボールを 投 げ 合 う。 競 技 場 のあちこちでミニ 試 合 が 始 まる。コリシはその 様 子 を 目 を 細 めて 眺 めながらこう 言 う。「 前 に 進 むなら、 できるだけ 多 くの 人 を 一 緒 に 連 れていきたいですね」。 ディスカバリーはサバンナの 中 で 輸 送 コンテナをけ ん 引 する 能 力 を 証 明 し、コリシはキャリアの 基 盤 を 築 いたクラブに 対 する 愛 情 を 示 した。 伝 説 は、 永 遠 に 自 らのルーツに 忠 実 であり 続 ける。 動 画 を 見 る クラブハウスが 届 けられた 様 子 は 「 Siya Kolisi and Land Rover」で 検 索 。 10

シヤ・コリシの 突 然 の ズウィデ 訪 問 で 競 技 場 はたちまち 喜 びであふれ、 子 供 たちは 新 しい 設 備 をすぐに 使 い 始 めた。 11